今回は、なかなか治らない「大人ニキビ」について本音で話します。

ニキビって、10代だけのものだと思っていたら20代、30代、40代になっても、「ずっと繰り返す」「治ったと思ったらまた出てくる」そんなふうに悩んでいる方が、すごく多い皮膚疾患なんです。

①あごやフェイスラインに繰り返しできる

②市販の薬を使っているのに良くならない

③スキンケアを見直しても治らない

そんなお悩みがある方も多いかと思います。じゃあ、なぜ大人のニキビは治りにくいのか？原因を一つずつ、わかりやすくお話ししていきますね！

実はニキビ、と一言にいっても“大人ニキビ”は思春期のニキビとはまったく原因が違うんです。子供のころにできていたニキビの治し方で、その頃はそれで治っていたとしても、大人になってからのにきびで同じことをしても治らない…そんな多くの方が「間違ったケア」でかえって悪化させてしまっている場合も多いんです。

今回のブログでは、

• • 大人ニキビの原因と特徴
  • 市販薬が効きにくい理由
  • 皮膚科での治療や改善方法
  • そもそもニキビではない場合

こちらについて、わかりやすく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

こちらのブログの内容は以下のYouTubeでも解説していますので、あわせてご覧ください

1. 大人ニキビと思春期ニキビの違い

まずは大人ニキビと思秋期ニキビの話をする前に、それぞれの定義を明確にしていきましょう。大人ニキビとは、思春期を過ぎた20歳以降にできるニキビのことで、一般的に「吹き出物」とも呼ばれます。次に思春期ニキビとは、主に10代の成長期にホルモンバランスの変化によって皮脂の分泌が過剰になり、毛穴が詰まってできるニキビのことです。特に、おでこや鼻、頬など皮脂分泌が多いTゾーンにできやすいのが特徴です。それでは、よく混同されがちな「思春期ニキビ」と「大人ニキビ」のそれぞれの違いについてお話していきますね。さきほど思春期ニキビは原因が主に「皮脂の過剰分泌」による毛穴の詰まりという話をしましたが、一方で、大人ニキビはこんな特徴があります。

✔️ あご・口まわり・フェイスラインにできる

✔️ 繰り返し同じ場所に出る

✔️ 赤く炎症を起こしやすく、治りにくい

✔️ 30代〜40代以降に突然できることもある。

つまり、大人ニキビは“皮脂だけが原因ではないというのがポイントです。ホルモンバランスの乱れ、ストレス、睡眠不足、乾燥、スキンケアの摩擦など、複数の要因が重なって起こるのが特徴です。

2. なぜ市販薬では治らないのか？

「ニキビ用の市販薬を使ってるのに、なんで治らないんだろう…」そんなお悩みを、私たち皮膚科でも本当に多く耳にします。市販薬には、イソプロピルメチルフェノールなどの殺菌成分や、軽い炎症を抑える成分が配合されていて、確かに軽度のニキビには効果を発揮することもあります。繰り返しできる“あごニキビ”や“フェイスラインの赤み”など、30代以降に見られる「大人ニキビ」には、市販薬だけでは正直限界があることが多いのが現実です。
その理由は、大きく分けて3つあります。

【1】原因に合っていない

まず1つ目の理由は、大人ニキビの原因が非常に複雑であるということです。ホルモンバランスの乱れ、乾燥によるバリア機能の低下、マスクや寝具の摩擦、クレンジングの落とし残し…など、日常生活の中に潜む“ニキビの種”は、実にたくさんあります。でも市販薬の多くは、「皮脂の殺菌」「炎症の鎮静」などごく一部の症状にしか対応していないことが多いんです。つまり、「あなたの肌が本当に求めているケア」とズレている可能性があるということですね。

【2】炎症が強く、市販薬では対応しきれない

2つ目は、炎症の強さに対して、市販薬ではパワー不足な。ことが多いという点です。赤く腫れていたり、押すと痛みがあるようなニキビは、皮膚の中でアクネ菌が増殖し、炎症がかなり進んでいる状態です。このような“赤ニキビ”や“膿ニキビ”は、軽い市販薬の力では追いつきません

【3】肌に合わないと悪化することも

3つ目は、「その市販薬が肌質に合っていない可能性がある」という点です。市販のニキビ薬には、清涼感を出すためにアルコールやメントールが含まれていることがあります。しかし、30代以降の肌は思っている以上に敏感になりやすく、乾燥しやすくなったり、刺激に過剰に反応してしまう人も少なくありません。さらに、「よく効いてほしいから」とつい多めに塗ってしまったり、朝晩毎日、何週間も塗り続けてしまうことでかえって肌がガサガサに荒れてしまうケースもあります。もちろん、すべての市販薬が悪いわけではありませんし、症状が軽い方や、肌質に合っている方は、それだけで改善することもあります。でも、「塗ってもよくならない」「なんだか悪化している気がする」と感じたときには、自己流のケアから一度立ち止まって、専門家に相談してみることがとても大切です。

3. 大人ニキビの本当の原因とは？

では、大人ニキビの本当の原因にはどんなものがあるのでしょうか？特に多い原因をいくつかご紹介します。

① ホルモンバランスの乱れ

30代以降になると、女性ホルモンの変化や月経前の黄体ホルモン優位の時期に、皮脂分泌が増えることがあります。それによって、あごやフェイスラインにニキビが出やすくなるのです。

② ストレスや睡眠不足

自律神経が乱れると、男性ホルモンが優位になりやすく、皮脂分泌が増えたり、炎症が悪化しやすくなります。肌のターンオーバーも乱れ、ニキビ跡も残りやすくなってしまいます。

③ スキンケアやメイクによる刺激

・洗顔のしすぎ・合成界面活性剤の多いクレンジング・こすれるファンデーションやマスクなどが刺激となり、肌のバリア機能を低下させてニキビの温床を作ってしまうこともあります。

④ 食生活の偏り

糖分や脂っこいものの摂りすぎ、ビタミン不足もニキビの原因になります。特に「チョコや揚げ物を食べた翌日に出る」という方も少なくありません

４.そもそもにきびではない可能性

大人になってから突然あらわれる「赤み」や「ぶつぶつ」。パッと見た感じでは「ニキビかな？」と思ってしまうことも多いのですが、実はそれ、ニキビではない“まったく別の皮膚の病気”だった。なんてケースも、私たち皮膚科ではあります。たとえば、「酒さ（しゅさ）」という皮膚の病気は、顔の中心部に赤みや小さな丘疹（ぶつぶつ）が繰り返し出るのが特徴です。とくに30代以降の女性に多く、「ニキビっぽいけど、なぜか治らない…」と悩む方が少なくありません。また、「毛のう炎（もうのうえん）」という、毛穴に細菌や真菌が感染して炎症を起こす病気も、ニキビと非常によく似た見た目をしているため、見分けがつきにくいのが厄介です。こうした症状を自己判断で“ニキビ”だと思い込んで、間違ったケアや市販薬を使い続けると、かえって悪化することもあります。だからこそ、「なんとなく治らないな」と感じたときこそ、一度皮膚科でしっかり診てもらうことが大切なんです。ちなみにニキビについて、私の書いた本でも詳しく書いてありますので、是非読んでみてください。下の概要欄にリンクを貼っておきます。

５.皮膚科でできる治療法とは？

「もうどうにもならない…」と感じている方こそ、一度皮膚科を受診してみてはいかがでしょうか？皮膚科では、症状や肌質に合わせて、複数の方法を組み合わせて治療していきます。主な治療法は次のとおりです。塗り薬は毛穴のつまりを改善するアダパレンや角質ケアやアクネ菌の殺菌剤である過酸化ベンゾイル・抗菌薬や抗真菌薬の外用剤、市販薬と違い、成分濃度が高く、効果が期待できます。内服薬は、炎症が強い場合は、抗生物質の内服。他にはビタミンB群の内服剤薬や漢方薬などを処方します。体の中からもバランスを整えることで、再発を予防します。これまでは、保険の治療薬の話しをしていましたが、保険外治療としては、ピーリングやイソトレチノインという飲み薬、光治療などがあります。肌質改善やニキビ跡のケアにも有効です。

６.大人ニキビを繰り返さないために

治療だけでなく、日常のケアや生活習慣の見直しもとても大切です。・睡眠時間はしっかり確保・糖分や脂質は控えめに・丁寧なクレンジング＆保湿・メイク道具やマスクは清潔に「治す」と「繰り返さない」両方を意識することで、肌は少しずつ変わっていきます。

6. エンディング・まとめ

いかがでしたでしょうか？大人のニキビは、10代のニキビとは原因が違うことが多いです。ストレス・生活習慣・スキンケア・ホルモンバランス。それに、そもそも違う病気かもしれない。もし、「ずっと治らないな」「繰り返してつらいな」と思ったら、ぜひ一度、皮膚科で相談してみてください。皮膚科での適切な診断と治療で、改善することもありますので。